上陸拒否事由とその特例について

外国人が日本に適法に滞在するためには原則としてビザ(在留資格)が必要ですが、それ以外にも入管法5条で定められた「上陸拒否事由」に当てはまらない事も必要です。

入管法第5条では、

「次の各号(後述)のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。」

、と定め、日本への上陸を拒否する外国人を列挙しています。

このように、「本邦に上陸することができない」、「・・・できない」と定めているため、現場の入国審査官には裁量余地はなく、この条文で定める事由のいずれかに該当する外国人の上陸は原則として拒否しなくてはいけない事になります。(例外として後述の上陸拒否の特例)

上陸拒否事由

入管法第5条では第1項1号から14号、第2項まで下記のような人たちを上陸拒否事由該当者として定めています。

類型内容
感染病に感染している人一類感染症(エボラ出血熱、ペストなど)、二類感染症(結核、ジフテリア、鳥インフルエンザなど)、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(すでにある感染症のうち政令で定められたもの)の患者又は新感染症(未知の感染症)の所見がある者に限られます。
精神障害者精神上の障害により事理弁識能力が全くないか著しく不十分な人に限られます。日本で活動又は行動を補助する保護者、配偶者、後見人などが随伴する場合は除きます。
貧困者・放浪者日本での生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのあるといえる貧困者、放浪者等に限られます。
1年以上の懲役・禁固刑に処せされた人日本だけではなく、外国も含み、法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又は名称を問わずこれらに相当する刑に処せられたことのある人。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、含みません。入管の解釈では執行猶予期間中の人、執行猶予期間を満了した人までも含むとしています。
麻薬違反者日本だけではなく、外国も含み、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤又は向精神薬の取締りに関する法令に違反して刑に処せられたことのある人。
フーリガンなど日本だけではなく、外国で開催された国際的規模のスポーツ競技会若しくは国際会議に関連して、過去に殺人、暴行、脅迫器物損壊を行い刑に処せられた人、又は退去強制された人。また、過去に刑に処せられた事がなくても日本へ入国後そのおそれがある人。2002年日韓ワールドカップでのフーリガン対策に定められた規定。
薬物等所持者日本の薬物取締法に定める麻薬若しくは向精神薬、大麻、けし、あへん若しくはけしがら、覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者。現に不法所持していれば過去に刑に処せされなくても入国審査官の認定により適用。
売春業務従事者自身で売春をした人だけではなく、売春の周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者。ただし、人身取引等の被害者は除かれます。
人身取引に関与した者人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
銃刀法違反者銃砲刀剣類所持等取締法に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法に定める火薬類を不法に所持する者。現に不法所持していれば過去に刑に処せされなくても入国審査官の認定により適用。
過去に退去強制などをされた人・上記の薬物、銃刀・火薬などの所持者として上陸を拒否された人で拒否された日から1年経っていない人
・入管難民法違反で退去強制された人で退去した日から5年経っていない人
・過去にも入管難民法違反により退去強制された事がある人で退去した日から10年経っていない人
・出国命令制度により出国した人で出国した日から1年経っていない人
国内で懲役・禁固刑に処する判決の宣告を受け、確定する前に帰国した人過去に日本に在留している間に特定の刑法犯として懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後日本から出国して国外でいる間にその判決が確定し、確定の日から5年を経過していない人
日本の利益、公安を害する活動を行う者過去に日本国内でいわゆる暴力主義的破壊活動者等として退去強制をされた人。また、現にそのような事を主張する個人、または団体をに所属する者。
相互保証主義による拒否上記のいずれにも該当しない場合でも、日本に上陸しようとする外国人の国籍又は市民権の属する国が上記以外の理由により日本人の上陸を拒否するときは、同じの理由によりその外国人の上陸を拒否することができます。

上陸拒否の特例

上記の表の中でも特定の上陸拒否事由に該当する人については、再入国許可を受けている場合や在留資格認定証明書の交付を受けている場合は特例が設けられています。

特例が適用される上陸拒否事由(入管法第5条の2)

  • 1年以上の懲役・禁固刑に処せられた人
  • 麻薬違反者
  • 売春業務従事者
  • 過去に退去強制などをされた人
  • 国内で懲役・禁固刑に処する判決の宣告を受け、確定する前に帰国した人

これらの上陸拒否事由該当者については再入国許可や認定証明書交付を受けている事を条件に、一律に「上陸拒否しなければならない」とせずに、「当該事由のみによっては上陸を拒否しない事とする事ができる」と規定しています。

なお、同法同条では再入国許可を得ている場合とその他法務省令で定める場合と定めていますが、その他法務省令で定める場合について、入管法施行規則第4条の2において定めらています。

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執筆者

特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
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