一般財団法人の特徴
一般財団法人の特徴を列挙すると下記のような点が挙げられます。
- 300万円のお金が必要
- 利益配当はできない
- 7名の役員が必要
- 公的機関に支払う手数料は約112,000円※1
※1 行政書士が必要書類の作成等について行う場合は別途費用がかかります。
一般財団法人設立に必要なもの
次に,一般財団法人設立を考えた際に用意する「人」と「お金」について見てみましょう
設立に際して必要な「お金」(拠出金)
一般財団法人は設立に際して300万円以上の拠出金が必要です。設立時にお金を拠出した人は「設立者」と言います。
なお、拠出は遺言によっても可能です。
これは一般社団法人やNPO法人の場合は0円であることと比較して最も大きな違いでしょう。
なお、一般財団法人の拠出金は、株式会社における資本金とは異なり,株式会社のように拠出した人に対して利益配当をしたり、社団法人の基金のように返還してもらえないことも特徴です。
また、この拠出金の額は定款で定める必要があり、定款で定められた拠出金のことを「基本財産」と言います。
理事はこれを維持する義務を負い、2年連続して貸借対照表上の純資産額が300万円を下回った場合、解散をしなくてはいけません。
なお、「基本財産」と対比する言葉として、日々の業務に費やすお金などのことを「運用財産」といいます。
一般財団法人設立時に必要な「人」(役員)
一般財団法人の人員は、最低10名の会員等を用意する必要があるNPO法人と比較して制限が緩いですが、2名の役員のみで足りる一般社団法人と比較すると多少、厳しくなっています。
一般財団法人の設立においては必ず,3名の評議員,3名の理事,1名の監事,合計7名の設立時役員を専任する必要があります。
次に評議員,理事,監事について見てみましょう。
評議員の決定と評議員会の設置
設立時において最低3人以上の評議員とそれら評議員で構成される評議員会の設置が必須です。
「評議員」とは、一般社団法人やNPO法人での「社員」に相当する役割で、一般財団法人の意思決定権者です。
理事の選任と理事会の設置
評議員3人以上が決定したら、評議員とは別に,日々の業務を執行する役割である理事3人以上の選任とそれら理事で構成される理事会の設置が必須です。
なお、一般社団法人の場合は理事は最低1名でもよく、理事会の設置も任意です。
理事会は原則として三ヶ月に一度開催をしなくてはいけませんが、事前に定款に定める事により、最低年二回にすることも可能です。
NPO法人や一般社団法人ではあえて代表理事を決めずに理事全員が代表権を有することも可能ですが,一般財団法人の場合は理事の中から必ず1名の代表理事を定めなくてはいけません。
監事の選任
一般財団法人においては一人以上の監事の選任が必須です。
一方、 一般社団法人では条件を満たさない限り監事の選任は任意です。
会計監査人の選任(原則任意)
会計監査人については定款で任意に選任の有無を定められますが、負債合計200億以上の大規模な財団であれば選任は必須になります。
なお、会計監査人に就任できるのは公認会計士か監査法人に限られます。
この点は一般社団法人と同様です。
一般財団法人設立時に必要な書類
一般財団法人の設立に必要な書類をみて行きましょう。
- 定款
- 設立者の印鑑証明書
- 設立登記申請書
- 設立時理事(監事)就任承諾書
- 設立時代表理事の印鑑証明書
- 設立時代表理事選定書
- 決議書
- 財産拠出の履行証明書
- 登記事項を記載する用紙
- 印鑑届出書
- 委任状(代理人が手続きを行う場合)
一般財団法人設立の流れ
拠出金の用意と設立時役員の選任に目処がついたら,具体的に一般財団法人の設立準備に入りましょう。
ここでは流れに沿って順番に説明をします。
定款の作成と認証
まずは,一般財団法人のあり方を定めた基本的なルールである,「定款」を作成します。
役員に関する事項など,最低限の事項、また必要に応じて相対的記載事項(記載をする必要はないが,記載をすれば効力を有する事項)を定めた定款が完成したら、この定款は公証役場にいる公証人に認証してもらう必要があります。
公証役場での定款認証には、手数料として約52,000円かかります。
NPO法人の場合は定款認証、後述の登録免許税ともにかからないため、この点についてもNPO法人と一般財団法人の大きな違いとも言える点でしょう。
財産の拠出
300万円以上の財産の拠出については定款の認証後に行います。金銭で用意をする場合は「拠出者」の銀行口座に用意しましょう。
設立時役員の選任
定款作成,財産拠出ができたら,次は役員を選任します。
財産の調査
役員の選任が終わったら,拠出した財産の実態について設立時理事・監事による調査を受けることになります。
「財産の拠出の履行があったことを証明する書類」として,金銭で300万円以上の拠出がなされていれば銀行の発行する書面を用意しますが,金銭以外の現物出資などがある場合は理事が調査報告書を作成する必要があります。。
法務局での登記申請
「定款」を作成し,認証を受け,「役員」も決まって,「財産の拠出」も確認できたら、最後に法務局での一般財団法人の設立登記申請を行います。
代表者が自ら赴く場合は委任状は不要ですが、他の人にお願いする場合、つまり代理人による手続きをする場合は「委任状」が必須になりますので注意が必要です。
また登録免許税として収めるために収入印紙6万円が必要です。
審査期間は早くて数日、混み合っている場合は2週間ほどかかるでしょう。
設立後の手続き
登記が完了すると晴れて一般財団法人が設立されます。
これにより,法人の印鑑登録,法人名義での銀行口座の開設や契約などが可能になります。
この他,税務署への届出,人を雇用する場合には職業安定所や年金事務所などでの手続きも必要になります。
当事務所でできる事
当事務所では一般財団法人の設立のための書類作成や手続きなどはもちろん、ご希望があればその後の会計や総務などのアドバイスも行います。
また、これから法人設立を考えられている方は、一般社団法人、一般財団法人、そしてNPO法人等、様々な法人の中からどの形態が自分たちにふさわしいか悩まれている方も多くいると思います。
どの法人形態にするべきかお悩みの方には設立前にどのような活動を考えられているかヒアリングをさせていただき、適切と思われる法人、その法人での定款の記載事項についてのご相談にも対応させていただきます。
※当事務所では登記手続きの部分は代行できませんので、ご自身で行っていただくか、こちらで司法書士をご紹介いたします。
執筆者
- 特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
- 1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
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