「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などの就労ビザを持つ人が仕事を辞めてしまうと,そのままでは次のビザ更新は認めらません。また,次の仕事を見つけるまでアルバイトをしたい場合でも,飲食店やコンビニでのアルバイトをしてしまうと資格外活動違反となってしまうため,原則として認められません。
仕事を辞めた時点で在留期限日までまだ日数があっても,その前に在留資格を取り消されたりするリスクがあります。
ただし,自分に責任がなく仕事をやめることになった場合は特別に再就職活動中にアルバイトの申請をすれば許可されたり,在留期限までに仕事が見つからない場合でもビザ変更が認められる可能性があります。
このページでは自己の都合によらない解雇,雇い止め,待機,退職の強要などにより仕事がなくなってしまった場合のビザの取り扱いについて説明します。
会社都合?自己都合?による退職
意図せず会社により解雇されて仕事がなくなった場合(会社都合)は業種を問わずアルバイトが認められたり,再就職のための求職活動をするビザに変更が認められたりと特別な取り扱いの対象になる可能性があります。
一方,仕事に飽きて自分から会社を辞めた場合(自己都合)は原則通り,在留期限日が来るまでに次の仕事を見つけれないと更新ができず,仕事が見つからなければ一旦帰国をする必要が出てくる恐れがあります。
このため,仕事を辞めた原因が自己都合によるものか,会社都合によるものかはとても重要なポイントになります。
まずは会社都合で辞めた場合と自己都合で辞めた場合の考え方を見てみましょう
会社都合で辞めた場合
働く人に責任がなく,会社から辞めさせられたような場合は会社都合による退職となる可能性があります。
例えば
- 会社の経営状態が悪化したため,従業員をリストラ(整理解雇)する場合
- 経営者の嫌がらせによる解雇された場合
ただし,
- 短い期間での契約でこれまで更新されたこともなく契約期間満了(初めに約束していた期間が経過)した場合
- 労働者に大きな過失があるため懲戒解雇された場合
は会社都合とはならないことがあります。
自己都合で辞めた場合
下記のように会社に責任がなく,自分から会社を辞める場合は自己都合による離職と考えられれます。
- 仕事に飽きて自分から会社を辞める場合
- 人間関係のトラブルで辞める場合(ただし上司や同僚からのセクハラやパワハラ,人種差別などが理由で辞める場合は別)
自分から辞めた場合でも会社都合と認められるケース
一見,自分から仕事を辞めたように見える下記のような場合でも,会社都合として認められることもあります。
- 自分から辞めた場合でも,会社に騙されたり,強制されて退職届や退職願を書いた場合
- 初めに聞いていた仕事内容が全く違っていた場合
- 残業が多すぎる場合
- 上司や同僚などからパワハラ,セクハラなどの嫌がらせを受けている場合
- 会社の移転に伴い通勤が困難になり退職した場合
- 賃金未払いが続いているため退職した場合
ただし,このように労働者に責任がないことが理由で離職する場合はハローワークで失業給付を受ける際の判断では単なる自己都合による離職とは異なる取り扱いがなされますが,必ずしも入国管理局が同じように対応するかは明確ではありません。
また,このようなことが起きる会社は,会社都合による退職としての紙を出してくれないことも多いので,もし,このページを見ている人が上記のように会社が原因でこれから退職を考えている場合は事前にメールのやり取りや録音など証拠になるものを取ってから辞めるようにすることを強くおすすめします。
自己都合・会社都合に関わらず必ずやること
自分から会社をやめた場合,会社のせいで会社をやめた場合,どちらの場合でも必ず退職してから14日以内に「所属機関等の届出」をしましょう。
また,求職活動をしたい人や会社で雇用保険に入っていて仕事を探しながら失業手当を受けたい人はなるべく早めにハローワーク(職業安定所)に相談に行きましょう。
自己都合によらず退職をしたが,引き続き日本で就職活動を望む場合の手続き
在留期限日までの在留資格取消の不適用
法律上,「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを有する外国人が仕事を辞めて3か月が経つと入管に呼び出されて在留資格が取り消されることがあります。
しかし,外国人労働者に責任がなく会社都合による解雇等になった場合,次の仕事を見つけるために再就職活動をしっかりとしていれば在留期限日までは在留資格を取り消さないと内部マニュアルに明記されています。
アルバイトをするための資格外活動の許可
失業後に在留ができたとしても,そのままでは現在の在留資格でやっていい仕事以外のアルバイトはできません。
通常は就労ビザの人はコンビニや飲食店などでアルバイトは認められませんが,会社都合による解雇等にあった人は「資格外活動許可」を申請すれば許可されます。
この場合に許可される資格外活動許可は「包括許可」と言われるもので,1週間に28時間,申請時点で勤務先が決まっていなくても許可されることになります。
(ゲームセンター,マージャン店,キャバレーなどの風俗営業店,ラブホテルなどの性風俗店では働けません)
許可される期間は「今の在留資格の在留期限日」,または「許可日から6ヶ月」のどちらか早いほうが決定されます。
6ヶ月が決定された人が再就職活動を続けてまだ仕事が見つけれない場合でも,在留期限日がまだ先であれば改めて資格外活動許可申請をすることができます。
ただし,一般的には就労ビザを持つ人がアルバイトの申請をする場合には申請書だけではなく,事情を説明した資料も添付して詳しい説明をする必要があります。
在留期限までに仕事が見つからなかった場合
在留期限日までに仕事が見つからない場合はやはりそのまま在留期間の更新はできませんが,事前に在留資格変更許可は認められます。
但し,この場合は在留資格「特定活動」(在留期間「6月」のみ)が一回だけ許可されますが,原則として更新は認められません。
しかし,2020年に発生した新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う雇用悪化の影響が継続している場合は更新が可能です。
特定活動になったあとも事前に資格外活動許可を申請すれば許可されます。
在留期限日までに仕事が見つからなかった人に家族がいる場合
在留期限日までに在留資格「家族滞在」で暮らす家族がいる場合,その家族についても「特定活動」への変更が認められるので,一緒に在留資格変更許可申請をすることをおすすめします。
当事務所でできること
当事務所にご相談をいただければ退職時の入管への届出,会社都合による離職か自己都合による離職かの判断,入国管理局へのアルバイトの許可申請,再就職活動中に就職先を見つけた場合にそこでの仕事が在留資格に該当するかの判断,座流期限後も再就職活動を希望する方の在留資格変更許可申請などについてサポートいたします。
ご相談は下記のフォームよりお問い合わせください。
執筆者
- 特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
- 1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
詳細なプロフィールはこちらをご参照ください。
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