外国の会社が日本へ進出する方法~対日投資、日本へのビジネス進出

外国ですでに事業を行っている会社が日本に進出してビジネスをやる場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?

ここでは、これから日本でのビジネス展開、投資を考えている海外の企業の方々を想定し、日本で事業を行う際の事業拠点の開設について説明します。

まず、外国会社が日本でビジネスを行う方法を大まかに分け、下記の四つに分けられます。

  1. 「短期商用ビザ」で来日し、契約の調印や商談等を行う方法
  2. 「駐在員事務所」を設置する方法
  3. 外国にある本社の「日本営業所(支店)」として拠点を設置する方法
  4. 外国にある本社の子会社として「日本法人(株式会社等)」を設立する方法

このうち、一番大きな分け方として、「日本で継続的な取引を行うか、否か」が重要になります。

日本で継続的な取引は行わない場合

例えば、日本での継続的なビジネスを行うことは予定しておらずリサーチのみ行う場合、日本でビジネスを行うことを目的に準備している段階、または日本にある企業と偶発的に発生した取引を行う場合、報酬が生じない商談、会議、打ち合わせ、視察、見学等を行うのみの場合は日本国内で会社や支店の登録は必須ではありません。

この場合、契約担当者などが「短期商用ビザ」でその都度一時的に来日することを考えるか、日本の市場調査や準備のために日本で従業員を雇う場合は「駐在員事務所」を設置する方法でもよいでしょう。

「短期商用ビザ」で来日する場合

在留資格「短期滞在」は、いわゆる観光や親族訪問のための資格として活用され、報酬を得て就労活動をすることを予定した資格ではありませんが、入管法上は観光などとは別に短期商用として一時的(偶発的、個別的)な契約の調印、会議、保守サービスなどを行う場合に同資格で日本で活動することが認めれます。

入管法別表第一 短期滞在の項
本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動

「短期商用ビザ」取得の手続きのやり方としては、外国にある日本大使館等で短期商用ビザ交付申請をして来日することが原則です。

但し、日本政府が事前のビザ申請不要で日本への短期的な観光や親族訪問を認めているアメリカ合衆国、韓国や台湾などの査証免除国の国籍の人の場合は在外日本公館での手続きは必要なく、有効なパスポートを用意して日本への航空券などを購入して来日するだけで来日が可能です。(但し、日本に到着した後に空港などで上陸審査はあり、そこで短期商用ビザでの活動内容に疑義を抱かれれば上陸拒否となるリスクはあります。)

「駐在員事務所」を設置する場合

一方、日本国内で継続的な商取引などは行わないものの、日本国内で従業員を配置し、正式に日本でのビジネスを行う前段階としてのリサーチ活動、外国にある本社への報告などの情報提供、市場調査や営業活動前の基礎研究、後述の「営業所」、「会社設立(日本法人)準備」をする場合は「駐在員事務所」を設置します。

「駐在員事務所」を設置しても、あくまでその活動はリサーチ活動、会社設立等準備に限られ、契約を行う場合には「営業所(支店)」の設置か「日本法人」の設立が必要となります。

「駐在員事務所」の設置自体には行政機関へ支払う手数料などの費用は掛かりません。

日本で継続的に取引活動を行う場合

日本で反復継続してビジネスを行う場合、外国会社の「営業所」を設置するか、新たに子会社として日本の株式会社などを設立する方法が必要です。

外国会社の「営業所(支店)」を設置する方法

会社法上、外国会社の営業所の設置について会社法第817条に定めがあります。

会社法第817条
1 外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。
2 外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する
3 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 外国会社は、その日本における代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

まず、817条1号において、反復継続して取引を行う場合は、代表者を定める必要性を規定しています。

代表者を定めて「営業所」の登記を行えば日本の一般的な会社のように公的な書類である登記簿謄本において本社である外国会社の本店所在地、役員や資本金の内容、そして日本国内において有効な代理権限を有する日本の営業所の代表者を明確にでき、取引の相手方としても一段階安心して取引ができることになります。

但し、日本の「営業所」の登記において外国の本社の資本金額、役員などが公開されることになり、それらに変更が生じた場合も都度記載の変更手続きが必要が生じるため、それらが都合が悪い場合は後述の日本法人設立を考えましょう。

会社法817条4号において、外国にある会社が日本に「営業所」を設置した場合でも日本国内で契約を行う主体はあくまで外国にある本社であり、問題が起きた場合も営業所ではなく、外国会社が責任を持つことになります。

営業所の設置に際して、法務局への手数料の支払いが必要になります。

子会社等として「日本法人(株式会社等)」を作る方法

外国にある会社が出資をし、日本に新たに株式会社などを設立する方法も考えられます。

外国にある親会社から出資を受けた子会社を日本に設立する場合、会社の設立的続きについては外国から出資する場合は特殊な論点がありますが、原則的に他の日本の会社と同様です。

また、設立後に取引の相手方と契約をする主体は日本法人であるため、登記簿謄本などにおいては外国の本社の資本金や役員などは表示されず、あくまで日本法人の情報だけ公表されます。

日本法人が問題を起こした場合も、原則としてその責任は本社である外国会社が出資した限度にとどまります。

設立に際しては一般的な株式会社同様に公証人、法務局への手数料支払いが必要になります。

執筆者

特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
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