在留期間更新許可申請の根拠と資格変更との違い
(在留期間の更新)第二十一条 本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる。
- 就労系在留資格を有する人が、勤務先を変更せず、従事業務内容も変わっていない場合は、在留期間更新許可申請ができます。
- 就労系在留資格を有する人が、勤務先を変更し、従事業務内容が変わっている場合は、在留期間更新許可されず、在留資格変更許可申請が必要になる可能性があります。
- 就労系在留資格を有する人が、勤務先を変更したが、従事業務内容は変わっていない場合は在留期間更新許可申請ができます。但し、転職先の職務内容と在留資格の一致に不安がある場合は就労資格証明書交付申請をされることをお勧めします。
- 婚姻を理由とする身分系在留資格を有する人が、日本人等と離婚または離婚を前提とした別居をしているような場合は、在留期間更新許可はされず、在留資格変更許可申請が許可されないか可能性を模索する必要があります。
- 婚姻を理由とする身分系在留資格を有する人が、日本人等と合理的な理由のある別居をしているような場合は、在留期間更新許可申請ができます。
更新申請に必要な添付資料等
2 前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない。
上述の通り、入管法では在留期間の更新許可申請ができることのみを規定しており、提出書類などは法務大臣が定める入管法施行規則第21条に規定されています。
申請書、写真、パスポート、在留カードのほか、別表第3の5に規定される書類を添付することが定められています。
更新申請における法務大臣の裁量性
3 前項の規定による申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。
前項の書類を単に提出するだけでは認められず、更新を適当とする相当の理由があることも要件となります。
具体的に何が「相当の理由」に当たるのかは明文では決められておらず、入管法において法務大臣に裁量性があることを規定する根拠ともなります。
しかし、そもそも現在の在留資格の資格該当性がなくなっている場合は別として、悪質な資格外活動がなされていたり、退去強制事由などに近い違反行為をしていたなどの場合を除いてはこの規定を根拠に法務大臣がまったく自由に許可・不許可に判断ができるとまでは解されていません。
審査期間中の特例と注意点
4 第二十条第四項の規定は前項の規定による許可をする場合に、同条第五項の規定は第二項の規定による申請があつた場合に、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第二号及び第三号中「新たな在留資格及び在留期間」とあるのは、「在留資格及び新たな在留期間」と読み替えるものとする。
4項では在留資格変更許可申請の条文を準用しています。
この内容は、在留期限が切れる前に在留期間更新許可申請が受理された場合、更新許可申請審査中に在留期限が経過しても、審査期間中2か月以内であれば、適法に在留できることを明文化しています。
この「みなし在留期間」の間は、古い在留カードの裏面に小さく在留期間更新許可申請中であることが押印されるので、警察などの職務質問で提示を求められても適法な在留中であることが主張できます。
ただ、あまりあることではありませんが、入管が申請を受理してからうっかり忘れてしまうなどして2か月以内で審査結果を出さないということもあるかと思います。
この場合、その人はオーバーステイとなってしまうため、申請後に1か月過ぎたらまず入管で審査状況の進捗を確認するようにしましょう。
執筆者
- 特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
- 1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
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