在留資格「特定活動」について

特定活動ビザとは?

在留資格「特定活動」の内容については入管法において下記の通り定められています。

法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動(入管法別表第一の五)

法律上はたったのこれだけであり、詳しくは法務大臣が定めた、いわゆる「特定活動告示」において定められています。

「特定活動」の意義は、ほかの在留資格を新たに作る上で国会による法改正を得ること必要があるのに対し、「特定活動」であれば政策的に外国人を受け入れる際に、法務大臣による告示を変更することにより新たな活動を創出でき、機動的な運用ができることです。

特定活動の種類

法律の委任を受け定められた特定活動告示の正しい名称は、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」です。

この告示は2010年頃には1号から15号(種類)までしかなかったものが、近年その数を一挙に増やし、本記事執筆時(2017年7月時点)では42号にまで増えており、今後も増加するものと思われます。

また、特定活動告示に列挙されておらず、公開された明文規定はないものの実務運用上定着しているものや入管の審査官が内部マニュアルとして利用する審査要領に記載された告示外の特定活動も存在します。

こちらは「告示外特定活動」といいます。

以下、まず初めに「特定活動告示」、続いて「告示外特定活動」について解説します。

特定活動告示の具体例一覧表

以下、特定活動告示の号数とそれぞれの具体例の一覧です。(2017年7月時点)

詳細については各項目のリンクをクリックしてください。
(リンク先がないものは準備中。順次公開。)

具体例
1外交官、領事官、在日米軍関係者等に雇用される家事使用人(メイド)
2在留資格「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」を有する外国人に雇用される家事使用人(メイド)
3台湾の在日公館である亜東関係協会(台湾日本関係協会)の職員とその家族
4パレスチナの在日公館である駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族
5ワーキングホリデーで来日する人(台湾以外)
5の2ワーキングホリデーで来日する台湾人
6アマチュアスポーツ選手
7アマチュアスポーツ選手の家族
8国際仲裁事件手続き代理を行う外国弁護士(外国法事務弁護士は除く。)
9国外の大学の教育課程の一環として働く大学生(インターンシップ)
10イギリス人ボランティア
11(外国人研究者等の親が規定されていました。)
12国外の大学の休暇期間中に働く大学生(サマージョブ)
13削除
14削除
15国外の大学の休暇期間中に日本の学校で国際交流活動を行う大学生(国際文化交流)
16インドネシア人看護師候補者
17インドネシア人介護福祉士候補者
18インドネシア人看護師の家族
19インドネシア人介護福祉士の家族
20フィリピン人看護師候補者
21フィリピン人就労介護福祉士候補者
22フィリピン人就学介護福祉士候補者
23フィリピン人看護師の家族
24フィリピン人介護福祉士の家族
25医療滞在者(医療ツーリズム)
26医療滞在者の付き添い人
27ベトナム人看護師候補者
28ベトナム人介護福祉士候補者
29ベトナム人就労介護福祉士候補者
30ベトナム人看護師の家族
31ベトナム人介護福祉士の家族
32建設業就労者
33在留資格「高度専門職」を有する人の配偶者
34在留資格「高度専門職」を有する人の親
35造船就労者
36特定研究活動従事者
37特定情報処理活動従事者
38特定研究活動・特定情報処理活動に従事する人の配偶者、子
39特定研究活動・特定情報処理活動に従事する人、配偶者、子に扶養を受ける父母
40長期観光・保養で来日する人
41長期観光・保養で来日する人の配偶者
42製造業を営む国外子会社等から実習に来る現場管理者

告示外特定活動のよくある事例

上記の告示に該当しない場合でも、特定活動が認められることもあります。

告示外特定活動は一般的には公表されておらず、開示請求で入管内部資料を請求しても黒塗りになっていますが、実務上よくある事例としては下記のような例があります。

就職活動を継続したい大学生・専門学校卒業生

専門学校や大学で勉強する留学生には「留学」ビザが認められますが、在学中に採用内定をもらえず、学校卒業後も引き続き就職活動をしたい場合、学校で勉強していなければ「留学」ビザの更新は許可されません。

そのため、このような留学生に対しては特定活動が認められる可能性があります。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

出国準備をするために在留を認められた人

在留期限が迫っている場合、在留期限の日までに「在留資格変更許可申請」や「在留期間更新許可申請をすれば、審査が終了するまで(または期限日から2か月間)は適法に在留できます。

しかし、本来の在留期限日を超えてから不許可となった場合、そのままではオーバーステイとなってしまいます。

そのため、そのような申請者に対して不許可の通知をするのと同時に、もともとの申請内容を変更させ、帰るための準備をするためのビザを与える運用を行っています。

入管は原則としてこの「出国準備目的の特定活動」から再度、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請などをすることは認めないとアナウンスしておりますが、事情によっては許可される事例もありますので、慎重な判断が必要です。

また、この申請内容変更について同意し、「出国準備目的の特定活動」を受けると、もともとの在留申請の不許可判断において入管側に違法と思われる判断がある場合でも入管(国)を相手とした行政事件訴訟を提起できなくなると解釈されるため、訴訟で争いたい場合は注意が必要です。

扶養が必要な老親(いわゆる連れ親)

準備中

就労系在留資格の親に扶養される連れ子

就労系在留資格、例えば「技術・人文知識・国際業務」を有する外国人に扶養される実子や養子であれば、在留資格「家族滞在」が認められます。

しかし、扶養する外国人(「本体者」といいます。)が過去に別の男性と子どもを設けた女性と結婚した場合で、養子縁組手続きをしていない場合、いわゆる「連れ子」を扶養する場合にも「特定活動」が許可される可能性があります。

難民認定申請中の人、難民とは認められないが人道配慮による在留が認められた人

難民とは自国で迫害を受けている人ですが、正規の手段で来日ができず、一定期間内に難民認定申請をせずにいた人、来日してすぐに難民であることを申し立てた場合は一時的に適法に在留できるように「特定活動」ビザが交付されます。

また、難民認定申請をし、難民性が認められないなど難民不認定処分が下されたが、別の人道上の理由により在留が認められた人も「特定活動」が認められることがあります。

「特定活動」ビザを持つ人の活動内容の確認

在留カードにはその外国人が現に有する在留資格について記載があります。

しかし、「特定活動」の場合、その内容によってそもそも就労ができるのか?、就労ができるとしたらどのような業務に従事できるのか?、在留カードを見ただけでは判別できません。

そのため、「特定活動」を持つ人には他の在留資格にはない「指定書」という個別に許可された活動内容が書かれた紙が交付され、その外国人のパスポートにホッチキス止めされていることが一般的です。

特定活動の申請方法

告示により定められる特定活動については、上陸許可基準の適用をうけるため原則として「在留資格認定証明書交付申請」によることになります。

ただし、ワーキングホリデーなどでの来日の場合は、事前に在外日本公館での面接などを経て手続きがなされます、

また、老親扶養などの告示外の特定活動については告示で定められた上陸許可基準がなく、在留資格認定証明書の交付対象にならないため、在留資格「短期滞在」で来日し、そこから「在留資格変更許可申請」を行うことになります。

特定活動から特定活動への変更申請

例えば、ワーキングホリデー(特定活動告示5号)で日本で過ごす外国人が、高度専門職ビザをもつ外国人と結婚し、高度専門職外国人の配偶者(特定活動告示33号)として引き続き日本に在留する場合は在留資格は変わりませんが、在留期間更新許可申請ではなく、在留資格変更許可申請が必要です。

この点は、専門学校から大学に進学した場合は更新申請をする「留学」ビザ、ITエンジニアから通訳・翻訳業務に従事することになった場合は更新申請をする「技術・人文知識・国際業務」ビザ等とは異なり、特定活動の特徴的な点です。

当事務所でできること

ご覧の通り、在留資格「特定活動」は非常に多岐に渡った活動を網羅しており、中には許可例が少ないものもあります。

当事務所へご相談いただければ、各活動での許可見込み、特定活動での許可が難しい場合でも他の在留資格該当の判断、書類作成・申請の代行などをさせていただきます。

初回のご相談、御見積は無料ですのでお気軽にご相談ください。

執筆者

特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
詳細なプロフィールはこちらをご参照ください。

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