日本国内で長期観光・保養するためのビザ

長期観光・保養目的のためのビザとは?

日本の観光ビザの典型である在留資格「短期滞在」では、最長でも90日までの日本滞在しか許可されません。

また、観光ビザは本来、反復継続して来日することを想定したものではないため、在留期間満了前にいったん帰国し、再度、入国を試みると大使館でビザ発給拒否、または最悪のパターンになるとせっかく日本の空港まで来たのに上陸拒否で送り返されることもあります。(特に、1年の半分以上、180日を超えて短期滞在で出入りしている場合は特に注意が必要です。)

そのほかに、日本で観光をしたり勉強をしたり休暇を過ごしながら働くことができる「ワーキング・ホリデー」ビザもありますが、こちらの制度を利用できるのは日本と協定を結ぶ国に限られ、申請者がおおよそ30歳以下であること、大使館での面接を受けるなどの条件があります。

さらに一般的な観光ビザである在留資格「短期滞在」や「ワーキング・ホリデー」ビザのほかに、経済的な余裕があり、長期間日本で長期間の観光をしたい人には在留資格「特定活動」の告示に定められる長期観光保養目的の特定活動が認められます。

なお、この長期観光目的のためのビザで認められる活動については観光だけではなく、短期滞在ビザと同様に報酬を得ない活動であれば、知人・親族訪問、スポーツ、競技大会等への参加についても認められます。

長期観光・保養のための特定活動ビザの許可要件と考え方

長期観光・保養のためのビザの根拠は、入管法に定められた在留資格「特定活動」、さらにその詳細を定めた法務省告示、いわゆる「特定活動告示」にあります。

観光保養目的の長期滞在者について定めた「特定活動告示40号」、その配偶者として同行する「特定活動告示41号」の二種類があります。

それぞれの許可要件については下記の通り定められています。

観光保養目的長期滞在者(告示40号)での許可要件

  • 18歳以上であること
  • 1年を超えない観光保養目的等の活動であること
  • 申請人の国籍が日本へ入国するのに査証が免除される国で、特定活動告示別表第九の国に該当すること(下記参照)
  • 日本へ上陸する時点での預貯金の合計額が日本円で3000万円以上であること
  • 日本滞在中の死亡、負傷、疾病をカバーする保険に加入していること

※夫婦ともに40号で来日する場合は倍額の6000万円の預貯金の証明が必要。

長期観光保養目的のための特定活動が許可される国一覧

特定活動告示 別表第九
2017年3月改正時点

アイスランド共和国
アイルランド
アメリカ合衆国
アルゼンチン共和国
アンドラ公国
イスラエル国
イタリア共和国
インドネシア共和国
ウルグアイ東方共和国
エストニア共和国
エルサルバドル共和国
オーストラリア連邦
オーストリア共和国
オランダ王国
カナダ
キプロス共和国
ギリシャ共和国
グアテマラ共和国
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
クロアチア共和国
コスタリカ共和国
サンマリノ共和国
シンガポール共和国
スイス連邦
スウェーデン王国
スペイン
スリナム共和国
スロバキア共和国
スロベニア共和国
セルビア共和国
タイ王国
大韓民国
チェコ共和国
チュニジア共和国
チリ共和国
デンマーク王国
ドイツ連邦共和国
ドミニカ共和国
トルコ共和国
ニュージーランド
ノルウェー王国
バハマ国
バルバドス
ハンガリー
フィンランド共和国
フランス共和国
ブルガリア共和国
ブルネイ・ダルサラーム国
ベルギー王国
ポーランド共和国
ポルトガル共和国
ホンジュラス共和国
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
マルタ共和国
マレーシア
メキシコ合衆国
モーリシャス共和国
モナコ公国
ラトビア共和国
リトアニア共和国
リヒテンシュタイン公国
ルーマニア
ルクセンブルク大公国
レソト王国
台湾
香港
マカオ

40号の配偶者(告示41号)での許可要件

41号での申請をする場合の配偶者は下記の要件もクリアすることが必要です。

  • 18歳以上であること
  • 1年を超えない観光保養目的の活動であること
  • 申請人の国籍が日本へ入国するのに査証が免除される国で、別表第九の国に該当すること
  • 日本滞在中の死亡、負傷、疾病をカバーする保険に加入していること
  • 40号で許可される人に「同行」すること
  • 40号で許可された人と法律上の結婚をしていること

※事実婚では認められません。また、外国で有効に成立した同性婚は認められません。

二つの観光保養目的長期滞在者ビザの考え方

夫婦で来日をする場合、原則として主たる生計維持者が40号で申請をし、その配偶者は同時に、または遅れて41号で申請して来日をすれば3000万円の預貯金の証明で認めれます。

但し、41号で許可される人は40号で許可される人に「同行」することが要件になっています。

このため、常に一緒に行動することまでを要求するものではありませんが、夫婦で別の場所に宿泊をしたり、別々の場所を観光するようなことは認められません。

また、40号で許可された人が41号の人より先に来日したり、41号の人が帰国した後も日本に在留を続けることはできません。

ある程度別々の行動をしたい場合は、夫婦でそれぞれで40号の申請をすることは可能です。
但し、この場合は夫婦の預貯金が6000万円以上あることの証明が求められてしまい、さらにハードルが上がります。

申請に必要な資料

  • 申請書
  • 銀行等の口座の入出金記録がわかる書類
  • 日本滞在中の事故をカバーする保険に加入していることがわかる書類

銀行口座の入出金記録などは銀行通帳などでもよいですが、原則として申請人の名義で、3か月以内に最後の取引をしたことがわかり、過去6か月に遡っての口座の入出金がわかることが求められます。

事情によって6か月分の通帳や入出金明細を取得できない場合は3000万円の資産形成過程を説明する資料を添付しましょう。

審査官が3000万円がどのように集められたものであるか疑問に思う場合は入管側から追加の資料提出の連絡が行くかもしれません。

長期観光保養目的の特定活動ビザの注意点

長期観光保養目的の特定活動ビザでは日本で働くことはできず、留学生などがアルバイトをするために認められる「資格外活動許可」についても原則として認められません。

滞在中に就職先を見つけた場合、また、自分で起業することを決めた場合は「在留資格変更許可申請」を行い、許可がなされてから報酬・収入を得る活動を行うようにしましょう。

許可後の在留期間

長期観光・保養目的の長期滞在が認められると、在留資格「特定活動」が許可され、原則として初回は6か月の期間が付与されます。
その後、日本滞在中に在留期間更新許可申請をすることにより、1回だけ再度6か月の期間更新がなされ、合計で1年間は日本に在留することができます。

執筆者

特定行政書士、張国際法務行政書士事務所代表
1979年(昭和54年)生、東京都渋谷区出身。10代後半は南米のアルゼンチンに単身在住。
帰国後は在住外国人を支援するNPO団体にて通訳・翻訳コーディネーター&スペイン語通訳として勤務。
ビザに限らず広く外国人に関わる相談をライフワークとしています。
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